「浮浪者」と「ホームレス」と「乞食」の違い

様々な理由で家や職を失い、路上や公園などで生活する人を「浮浪者」「ホームレス」「乞食」と呼ぶイメージがありますよね。

しかし、実はこの「浮浪者」「ホームレス」「乞食」には、きちんと違いがあるのです。

今はあまり「乞食」「浮浪者」という言葉は使われなくなり、家を失い路上生活などをしている人のことをまとめて「ホームレス」と呼ぶことが多くなりました。

今回は、「浮浪者」「ホームレス」「乞食」の違いについてご説明いたします。

「浮浪者」の意味

太郎
「浮浪者」とは、特定の居住地を持たず、あちこちさ迷い歩く人のことを言います。

浮浪者は、「ルンペン」とも呼ばれ、時には「乞食」と同一に扱われることがあります。

浮浪者の一番の特徴は、特定の居住地を持たないという事です。

しかし、あくまで住むところがないというだけで、職を持たないという定義はありません。

例えば、日雇いなどの仕事をして、夜になるとネットカフェや24時間営業のファストフード店で過ごすという人も、居住地を持たないという意味では「浮浪者」になりますが、決して仕事がないわけではなく、労働で賃金を得ています。

「ホームレス」の意味

桃子
「ホームレス」とは、特定の居住地を持たず、公園や路上を生活の場とする人のことを言います。

他にも、路上生活者や公共施設・橋の下など、寝起きの場所を定めて生活をしている人も含まれます。

「ホームレス」が浮浪者と違うのは、特定の居住地は持っていなくても、公園や路上などに簡易的な生活場所を作り、そこで生活をしているという事です。

他にも、特定の家がないというだけで、空き缶集めやその他の方法で収入を得て、家を持つ人とほとんど変わらぬ生活を送っているという人もすくなくありません。

ただ、公園や路上に生活場所を作ることはほとんどの自治体などでも禁止されており、テレビなどでも立ち退きの様子などが良く放送されているのを目にしたことがある人も多いと思います。

ホームレスの人は、あくまで何か原因があってやむを得ずにホームレスになるという人が多く、きちんと支援をすることで生活復帰する人も少なくありません。

「乞食」の意味

太郎
「乞食」とは、生活をするために他人に食べ物や金銭などを無心する人のことを言います。

乞食というのは、今でこそ生活に困り他人に食べ物やお金などを無心する人のことを指しますが、元々はインドのバラモン階級の修行として行われていたものです。

さらに、日本でも職業として乞昔は食を行う人もいて、今でもインターネット上で乞食をする人もいます。

ただ、日本の憲法では、乞食行為は基本的に禁止されています。

乞食というと、今では浮浪者やホームレスのように定住する家がない人のことを指す言葉としても使われていますが、あくまで乞食は物乞いをする人のことを指し、中にはきちんと家があるにもかかわらず乞食を行っているという人もいます。

「浮浪者」と「ホームレス」と「乞食」の違いとまとめ

「浮浪者」「ホームレス」「乞食」には、一見どれも家を失い物乞いなどをしながら生活をしている人たちのことを言う言葉のように思えますが、実は明確な違いがあるという事がわかりましたね。

  • 浮浪者…特定の居住地を持たず、あちこちを転々として生活している人。決して仕事を持たない人ではない。
  • ホームレス…特定の居住地は持ちませんが、一定の場所に簡易的な居住地を作ったり、居住地を決めて生活している人。こちらも仕事を全くしていないというわけではなく、いろいろな方法で正規の収入を得ている。
  • 乞食…職を持たず、生活をするために金銭や食べ物などを物乞いする人。中にはきちんと家を持っている人もいる。

このように違いがあります。

昔はこのような人をまとめて「乞食」と呼んでいましたが、今は差別用語という事で浮浪者やホームレスと呼ぶようになりました。

特に「ホームレス」という言葉は1990年代から使われるようになった言葉です。

この中で、乞食行為というものは現在憲法で禁止されており、ホームレスのように特定の場所に居住地を作って住むという事も違法になることが多いようです。

それでも、公園や川辺、橋の下などにホームレスの簡易的な居住地が無くならないのは、ある程度黙認している部分もあるからだと思います。

その為、時々ホームレスの居住地の一斉撤去などがテレビのニュースで取り上げられていることがありますよね。

そして、共通するのは「浮浪者」「ホームレス」「乞食」も全ての人が好き好んでそのような生活を送っているというわけではないという事。

会社のリストラや病気などで、収入を得ることが出来ず、仕方なく居住地を失い「浮浪者」「ホームレス」「乞食」になる人がほとんどなのです。

自治体によっては支援をして通常の生活に戻す取り組み行われていますが、なかなかうまくいかないというのが現状ですし、実際にどのくらいの人が「浮浪者」「ホームレス」「乞食」になっているのかという人数の把握も難しいようです。
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