「陶器」「磁器」「セラミック」の違いと見分け方!電子レンジの使用は大丈夫?

「陶磁器」と一緒にして呼ばれることの多い陶器と磁器。

食器だけでなく、包丁や人工歯根などにも利用されているセラミック。

この3つの共通点と相違点は?

おもな原料や製造工程、取り扱い方などから、「陶器と磁器とセラミックの違いと見分け方」について調べてみました。

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「陶器」ってどんなもの?

信楽焼

信楽焼(出典:Wikipedia

太郎
「陶器」は、陶土(粘土)を主原料にして、800度~1200度前後の低温で焼いた焼き物をいいます。

実際には、粘土だけではひび割れが起きやすいので、ガラスの材料になるケイ石などを混ぜて作っています。

陶器の歴史は古く、縄文式土器なども陶器に当たります。

人間は、食料の煮炊きや盛り付けのために、古来から陶器を使用してきたのです。

陶器は素材が粘土なのできめが粗く、そのままでは水が漏れてしまいます。

そのため、釉薬と呼ばれるうわぐすりを塗って焼くことで、吸水性を抑えています。

また、もとは土色をしていますが、釉薬の種類により、様々な色の器を作ることができます。

素地はどっしりと重みがあって分厚く、指ではじくとゴンという鈍い音がします。

素朴で温かみがあり、和食との相性が良い食器です。

私たちの身近でよく見かけるものとしては、たぬきの置物で有名な信楽焼、益子焼、萩焼などがあり、湯のみ、どんぶり、土鍋などに加工されています。

陶器でできたビールグラスでビールを飲むと美味しいといわれますが、これは、陶器の表面に細かい凹凸があるため、ビールの泡が立ちやすく、なかなか消えにくいという性質によるものです。

「磁器」ってどんなもの?

磁器
(磁器)写真は、1873年の万博に、出品されたもの(出典:Wikipedia

桃子
「磁器」は、チョウ石などの岩石の粉末を主原料とし、1200度~1400度の高温で焼いた焼き物をいいます。

実際には、加工しやすいように少量の粘土を混ぜています。

石が主な材料なので、陶器よりも硬く、吸水性はほとんどありません。

機械で大量生産するのには向いていますが、職人が手作りするには技術が必要な、扱いにくい素材です。

陶器と違い、透明な釉薬を使って白色の下地の上に模様などを施しています。

できあがった器は、素地が薄く、軽くて透明感があり、指ではじくとキーンという音がします。

古くは中国の景徳鎮などで作られ、日本で本格的に作られるようになったのは、江戸時代に入ってから。

17世紀後半に有田(佐賀県)で作られた古伊万里は、ヨーロッパに大量に輸出され、その白地の美しさで貴族たちの人気を集めました。

日本では、伊万里焼(有田焼)や九谷焼などに代表され、外国のものだと、マイセン(ドイツ)、ウェッジウッド(イギリス)などが有名です。

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陶器と磁器の見分け方

陶器と磁器の簡単な見分け方は、茶碗や皿をひっくり返した時に見え、テーブルと直接触れている「高台」と呼ばれる部分にあります。

この部分が、白っぽくてつるつるしていたら磁器色がついていてざらざらしていたら陶器と思ってまず間違いありません。

(なかには、陶器と磁器の中間的性質をもつせっ器と呼ばれる器もあります)

この法則にしたがって家にある食器を調べてみると、私たちが普段使っている食器は、陶器よりも磁器の方がはるかに多いことが分かります。

磁器は表面が滑らかなので、汚れなども落としやすく、積み重ねて収納しやすいという利点があります。

そのため、ティーカップやプレート、小鉢など様々な用途で使えます。

特に洋食や中華料理との相性が良いです。

ところで、ボーンチャイナという磁器を知っていますか?
ボーンチャイナは、原料の中に牛の骨灰が含まれています。
牛の骨には、リン酸カルシウムが多く、鉄分が少ないため、焼くと温かみのある乳白色を醸します。
イギリスでは、磁器の原料になるカオリン(チョウ石)が採れなかったため、その代用品として牛の骨を用いたのがはじまりです。
一般的な磁器よりも白くて強度もあり、高級品とされています。

「セラミック」ってどんなもの?

セラミック
太郎
セラミック(正しくは複数形でセラミックス)とは、無機物の粉末を形に整え、高温で熱して固めたガラス・陶磁器・セメントなどの総称です。
ものを構成する物質には有機物と無機物があり、無機物は、さらに金属製のものと非金属製のものに分けられます。

セラミックは、非金属製の無機質を原料としたものです。

この定義によると、陶器や磁器もセラミックに含まれますが、現在は高純度に合成された人工的な材料を用いて、緻密にコントロールされた工程で製造される「ファインセラミックス」を指してセラミックという場合も多くなっています。

セラミックは、私たちの身の回りのあらゆる分野で使われており、セラミックがなければ生活が成り立たないと言っても過言ではありません。

例を挙げると、自動車の部品や、テレビやパソコンの液晶、家の外壁や屋根、医療用の人工骨や人工歯根など。

軍隊の防弾ベストもセラミックで作られています。

セラミックは、硬くて熱や衝撃にも強いことから、割れにくい食器としても加工され、病院などの業務用を中心に普及が進んでいます。

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電子レンジの使用も含めたそれぞれの取り扱い方について

では、それぞれの取り扱い方や電子レンジの使用について見ていきます。

陶器は、はじめて使用する時に水かぬるま湯にしばらくつけておくことで、その後の汚れなどが落ちやすくなります。

土鍋は、「目止め」といって、米のとぎ汁などを火にかけて煮込み、でんぷん質で素地の細かい気孔を塞ぐと長持ちするといわれています。

陶器は吸水性があるため、水分のあるものを器に入れて電子レンジにかけると、器だけが温まり、中のものは冷たいままということもあるため、電子レンジの使用には適していません。

また、長い間醤油などを放置しておくと、浸透してしみやカビの原因になることがあります。

磁器は、使い始めに中性洗剤とスポンジで軽く洗うだけでOKです。

硬く、吸水性がないため、電子レンジで使用することもできます。

ただし、装飾に金銀が使われている器は、電子レンジで加熱するとスパーク(火花)の原因になるので避けましょう。

繊細な模様や鮮やかな色のついた器も、電子レンジで加熱を繰り返すことによって退色が進むので、できれば使わない方がよいでしょう。

また、電子レンジで加熱した後の器を急激に冷やすと、温度差により、割れたりひびが入ることがあるので注意が必要です。

セラミックには、電子レンジでの繰り返しの使用に耐えられるように加工した食器がたくさんあります。

購入する際に、念のため「電子レンジ可」のシールなどの表示を確かめておきましょう。

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