「遺跡」と「史跡」の違い 

「遺跡」と「史跡」の違いを解説します。

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遺跡とは?

タキシラの都市遺跡を構成するストゥーパの遺構(パキスタン)

タキシラの都市遺跡を構成するストゥーパの遺構(パキスタン)出典:Wikipedia

遺跡の意味

現在日本が文化財を保護するために、文化財を2段階で指定・保護しています。1つは、国宝・重要文化財に指定し、保護する方法です。古文書・仏像・建造物などの有形文化財のうち、重要なものを重要文化財としています。また、「たぐいない国民の宝」が国宝となっています。

もう一方では、「記念物」という保護の方法があります。遺跡と史跡は、記念物として文化財が保護されているものです。「記念物」には、遺跡、名勝地、動物、植物、地質鉱物があります。記念物は、日本にとって学術上価値の高いものという意味です。 遺跡は、記念物の一つで過去に、人間が活動したと認められる痕跡があり、考古学研究や文化財保護の対象となったものをいいます。

遺跡の中には、貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅などが含まれています。遺跡の中で、人類が作り出した道具のように可動的なものを「遺物」といい、住居・墓などのように非可動的なものを「遺構」といいます。「遺跡」は「遺物」と「遺構」の総体を意味します。

日本三大遺跡

日本でもっとも遺跡として有名なものに日本三大遺跡と呼ばれているものがあります。

静岡にある「登呂遺跡」は、弥生時代の遺跡で、住居・水田・森林跡など大規模な遺跡です。住居も発掘され、多くの出土品も発掘されています。

長崎県には「平出遺跡」は、縄文・古墳・平安の時代に渡る大集落跡が発掘されています。遺構は住居などを含む建造物が290カ所もあります。膨大な量の土器や石器などの出土品は、原始・古代資料として大変貴重なものとなっています。

長野県の尖石遺跡は、縄文時代のもので土偶をはじめ土器が2000点以上発掘されています。縄文時代から弥生時代にかけての古い遺跡で、古代の人々の生活していた集落も発見されています。

このほかにも多くの遺跡が日本全国にあります。現在も多くの遺跡で発掘・調査が行われています。

史跡とは?

特別史跡「姫路城跡」(兵庫県姫路市)

特別史跡「姫路城跡」(兵庫県姫路市)出典:Wikipedia

「文化財保護法」で、遺跡のなかでも特に重要なものが「史跡」に指定されています。「史跡」は、歴史的・学術的に重要な場所のことを指しています。一般的に遺跡と同じ意味で使用されることもあります。

しかし、1919年に「史跡景勝天然記念物保存法」という法律が作られた以降は、遺跡のうち、「特に法律にもとづいて指定されるもの」をいうようになりました。

現在では「文化財保護法109条第1項」の規定によると「史跡」は、文化財の種別の一つとして考えられています。「遺跡」と一般に考えられているもののうち 特に「歴史的・学術的価値が高いと認められて、保護が必要だ」と思われるものを国や地方公共団体が「史跡」として指定しています。

史跡の特徴

史跡は、歴史的背景や地域の特色があるので、必ずしも序列や優劣があるわけではありません。

その中でも重要文化財や国宝に匹敵するもので、特に「学術的に重要で日本の文化の象徴である」思われるものを「特別史跡」といいます。現在、国が指定している史跡は1795カ所ありますが、そのうち62件が「特別史跡」に指定されています。

国の指定史跡にならないものは、地方公共団体が独自の条件を決め、それに基づいて「史跡」と指定することもあります。そのため、地方公共団体が指定した史跡は呼び方に統一性がありません。「旧跡」「地域文化財」「県指定遺跡」などと呼ばれています。国が指定した史跡と混同されないように「史跡」であっても「史跡」と呼称されてはいません。

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「遺跡」と「史跡」の違い

①遺跡は記念物の一つです。過去に、人間が活動したと認められる痕跡があり、考古学研究や文化財保護の対象となったものをいいます。遺跡の中には、貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅などが含まれています。

史跡は遺跡の一部で、「特に歴史的・学術的価値が高いと認められているもの」をいいます。「史跡」は、文化財の種別の一つとして考えられています。

②遺跡は人類が作り出した道具のように可動的なものを「遺物」といい、住居・墓などのように非可動的なものを「遺構」といいます。「遺跡」は「遺物」と「遺構」の総体をさしていいます。

史跡のなかでも重要文化財や国宝に匹敵するもので、特に「学術的に重要で日本の文化の象徴である」と思われるものを「特別史跡」といいます。

③日本の遺跡の代表に登呂遺跡・平出遺跡・尖石遺跡など古代の生活を知る手がかりになるような遺跡もあります。現在も多くの遺跡が発掘・調査されています。

国の指定を受けられなかった史跡は、各地方公共団体が独自の条件を決め、それに基づいて「史跡」と指定することもあります。それらは、地方独自の呼び方で「旧跡」「地域文化財」「県指定遺跡」などと呼ばれています。

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まとめ

日本にはまだまだ知られていない遺跡や史跡・文化財があると思います。貴重な先人の文化財を受け継ぐ現代ですが、日本の文化をあらためて見直し誇りに思う人も多いでしょう。

世界最古の遺物も多く発見されている日本にはまだまだ知らないものもあります。これらの先人の遺産は、この国がいつまでも繁栄し続けることで守ることができるのです。長い歴史の中で日本の祖先が、多くの遺跡・史跡をはじめとする文化財を残してくれたことに心から感謝したいですね。

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