「利子」と「利息」の違い

普段よく耳にする、「利子」と「利息」。

ですが、この二つの違いって正確にわかりますか?

私たちの利益に直結する言葉だからこそ、これを機に正しい理解を深めていきましょう。

今回は、何となく分かるようで分からない【利子と利息の違いと意味】について、説明していきますね。

「利子」の意味

「利子」と「利息」は、もとは同じ意味を指す言葉ですが、現在は慣用的に使い分けられています。

太郎
「利子」という言葉は、おもに「自分が借りたお金」に対して使われます。

クレジットカードのキャッシングや、車のローン、住宅ローンで使われる「金利○%」という数字は、この利子についてのことなんですね。

元金(借りたお金)に対して、どれくらい上乗せして返せばいいのか、ということを表しているのが「利子」だといえます。

「利息」の意味

桃子
「利息」という言葉は、「自分が貸した(預けた)お金」に対して使われることが多いです。

銀行の定期預金や生命保険などは、銀行や保険会社が預かったお金を運用して利益を得ているのですが、その中から契約者に決められた割合で利益を還元しています。

それが「利息」です。

つまり、自分が払う場合は「利子」、受け取る場合は「利息」ということです。

会話の中では、2つの言葉が混用されているケースもありますが、間違いとはいえません。

例えば、ゆうちょ銀行では、銀行でいうところの「利息」を「利子」と呼んでいます。

また、法律用語では、利子も利息も同じ言葉として「利息」という用語に統一されているようです。

紛らわしいですね。

「利子」や「利息」の概念はいつから?

ところで、「利子」や「利息」といった概念は、いつごろ世の中に現れたのでしょうか?

中世のヨーロッパでは、カトリック教会によって、キリスト教徒間でお金の貸し借りをする際、利子をとる行為は禁止されていました。

働かずに利益を得ることや、相手に金銭の見返りを求めるという行為が、キリスト教の教えに反するということだったんですね。

しかし、貨幣経済が進展してきた13世紀ごろから、次第に状況が変わっていきます。

そして、宗教改革が起きた16世紀になると、プロテスタントの間では富を蓄えることが正当な行為として認められ、利子の考え方も許容されていったのです。

その後、イギリスやアメリカが産業革命を経て、資本主義社会へと発展していったことはご存じのとおりです。

対して日本では、宗教によって利子をとることが禁じられることはありませんでした。

むしろ、寺社が国家に変わって、民衆に米やお金を貸し付けていた時代もあったようです。

そのため、封建社会から資本主義社会への移行も、経済的には比較的すんなりといったのかもしれません。

ここまで読んで下さった方は、【じゃあ、よく聞く「マイナス金利」って、「利子」のことなの?「利息」のことなの?】と疑問に思うかもしれません。

2016年1月に日本銀行が発表したマイナス金利は、日銀が一般の銀行などから預かっている預金の一部の金利をマイナスにする、ということで、個人の銀行預金には関係がありません。

しかし、マイナス金利の影響で、もともと低かった銀行預金の利息はさらに低くなっています。

銀行も、日銀に預けるとお金が減ってしまうので、自分たちで運用して利益を出すしかないんですね。

その代わり、貸し出し金利もかなり低くなっているので、会社の融資や住宅ローンなどは、低い利子で資金を借りることができます。

「利子」と「利息」の違いまとめ

「利子」という言葉も、「利息」という言葉も、同じ意味ではあるけれど、「貸す(預ける)側」と「借りる側」の立場の違いによって使い分けられている、ということがお分かり頂けたでしょうか?

「利子」と「利息」は相関関係があるので、低い時はどちらも低く、高い時はどちらも高くなる傾向があります。

現在のデフレ経済と、バブル景気の頃が対照的な例ですね。

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