「霰(あられ)」「雹(ひょう)」「 霙(みぞれ)」の違い

春なのにあられやひょうが降った、というニュースを聞くことがありますね。

激しいひょうで車のフロントガラスに傷がついたテレビの映像を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

また、冬の始まりには「みぞれ混じりの雨」という表現を耳にすることも。

でも、この3つの違いについて、正確に知っていますか?

今回は、霰(あられ)と雹(ひょう)と 霙(みぞれ)の違いについて、ちょっと勉強してみましょう。

【スポンサーリンク】

世界最大の雹(ひょう)は日本に降った?

太郎
霰(あられ)雹(ひょう)は、空から降ってくる氷の粒や塊です。

霰と雹の違いは、大きさで決まり、直径5mm未満のものが霰、5mm以上のものが雹です。

5mmより大きなものはすべて雹になるので、大きな氷の塊は雹と思っていいでしょう。

これまでに観測された世界最大の雹は、1917年に現在の埼玉県熊谷市に降った約29.6cm、重さ3.4kgのものです。

3.4kgって、生まれたばかりの赤ちゃんの体重と同じくらいの重さですよね!

具体的には、かぼちゃ丸々1個分くらいの大きさにあたるそうです。

しかも、これは当時の人が外にあった大きい雹を持ち帰り、秤ではかった時の大きさなので、降った当初はもっと大きかった可能性があるんだそうですよ。

「雪あられ」と「氷あられ」の違いは?

霰(あられ)は、表面の状態によって「雪あられ」と「氷あられ」に分類することができます。

白色で不透明な氷の粒を「雪あられ」、半透明や透明の氷の粒を「氷あられ」と呼びます。

「雪あられ」は、雪のまわりに水滴がついたもので、気温が0℃前後の時に雪と一緒に降ることが多いです。

「氷あられ」は、気温が0℃以上の初冬に降りますが、春や夏でも降るときがあります。

「氷あられ」が大きな塊になると雹になります。

天気予報では、「雪あられ」は雪、「氷あられ」は雨として扱うそうです。

霙(みぞれ)と雪の違いは?

桃子
霙(みぞれ)は、空から雨と雪が一緒になって降ってきたものです。

雨が雪に変わる時や、雪が雨に変わる時によく見られます。

気象庁の定義では、 「雨まじりに降る雪。または、解けかかって降る雪」とされています。

霙が降るという予報は難しいので、「雨または雪」、もしくは「雪または雨」と表現されます。

しかし、冬の初めに霙が降ると「初雪」として観測されるそうです。

【スポンサーリンク】

霰(あられ)と雹(ひょう)と 霙(みぞれ)の降るメカニズム

この3つが降る気象条件について調べてみましょう。

まず、霰(あられ)雹(ひょう)です。

この2つは、空気中にある水蒸気が積乱雲の中で氷の粒や塊になったものです。

積乱雲の中では上昇気流が吹いているので、氷の粒は上に向かって吹き上げられ、なかなか地上まで落ちることができません。

少し落ちると粒の表面が溶けて、まわりに水滴やほかの粒がつきます。

これが上に戻されると、冷やされて表面が凍りつきます。

この繰り返しによって、霰や大きな雹が作られていきます。

そして、粒が重くなって雲の中にとどまることができなくなったり、上昇気流が弱くなると地表に降ってくるのです。

霰や雹は、地表の温度が高いと途中ですべて溶けて雨になってしまうので、気温がそれほど高くない春や秋に見られることが多いです。

霰の中でも「雪あられ」は、雪のまわりに水滴がついたものなので、冬に見られることがほとんどです。
次に、霙(みぞれ)についてです。

空気中の水蒸気は、上空にいくにつれて冷やされて水滴になり、やがて-41℃程度で凍結して氷の結晶になります。

この結晶がある程度大きくなると、重くなり、地上に落ちてきます。

そのまま地表に到達したものが雪になり、雪が一部溶けたり、雨の中で溶け残った雪が霙になるのです。

【スポンサーリンク】

霰(あられ)と雹(ひょう)と 霙(みぞれ)にまつわるあれこれ

霰(あられ)、雹(ひょう)、 霙(みぞれ)が、細かく区別して呼ばれていることから、昔からこの3つは、日本人にとってなじみ深い現象だったということが分かりました。

そこで、これらにまつわる言葉を色々探してみました。

お菓子の「あられ」は、もち米で作った餅を小さく切って、火であぶったり、油で揚げたりしたものです。

形が降る霰に似ていることや、油で揚げる時の音が霰が地面に落ちる音に似ていることからつけられたようです。

また、着物の江戸小紋で、色のついた生地に大小の不規則な白い点の入った模様を「霰文(あられもん)」と呼びます。

昔の人は、霰の大きさが一定でないことをよく知っていたんですね。

次に、かき氷に透明のシロップや練乳をかけたものを「みぞれ」と呼ぶことがあります。

まさに、形状が降る霙にそっくりですね。

また、大根おろしのことを「みぞれ」と呼ぶこともあり、大根おろしで煮た料理を「みぞれ煮」、大根おろしを入れた鍋物を「みぞれ鍋」と言ったりもします。

残念ながら、雹は、「降雹」や「雹害」という雹そのものの脅威を示す言葉しか見つかりませんでした。

時に家畜や農作物に大きな害を与える雹は、人々にとって決して嬉しいものではなかったということですね。

ちなみに、動物のヒョウにも不規則な丸い模様が全身にありますが、降る雹と特に関連はないようです。

霰(あられ)と雹(ひょう)と 霙(みぞれ)の違いまとめ

  • 雹(ひょう)は、積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊のこと
  • 霰(あられ)は、雲から落下する白色不透明・半透明、または透明な氷の粒で、直径が5mm未満のもの
  • 霙(みぞれ)は、雨まじりに降る雪、または、解けかかって降る雪のこと

ほんの少しの条件の違いで、色々な形を作り出す自然の力って不思議ですね!

スポンサーリンク
スポンサーリンク

逆引き検索