「臭い」と「匂い」の違い

「臭い」とは?

「臭い」という漢字は、2010年まで「くさい」としかのっていなかった漢字です。ごく最近「におい」と常用漢字に追加されました。「臭い」の「臭」という漢字は中国から伝わってきた漢字です。

どんなとき使う

①鼻で感じる刺激を表します。

②ものが持っている雰囲気を表します。

具体的な使い方

①鼻で感じる刺激  「くさい」・「不快なもの」として使われます。使い方は、大変ネガティブな意味で使われます。

たとえば、ゴミの臭い  お酒の臭い  汗の臭い  どぶの臭い 、どれをとっても臭いとしてはいやなイメージです。

(例文) 洗濯物を部屋干したときのいやな臭いはたまらない。、ガソリンを入れた後の車のツーンとして臭いは嫌いだ。香水臭いおばさんが来るとむせてしまう。すべて、不快な思いが伝わってくる使い方です。

 

②ものが持っている雰囲気でも不快なものに使います。 犯罪の臭い 不正の臭い

(例文) 彼は私達に何かを隠しているようで臭いねぇ。 近所に越してきた人はどことなくうさん臭いなどです。これも何か怪しげな雰囲気を感じる使い方です。

 

漢字も元々「くさい」ですから、「臭」という漢字が作ることばも「悪臭」「臭気」「消臭」などくさい臭いに関する熟語が多くなっています。

もし嫌いな食べ物の「におい」ならどうする?

「におい」という漢字は、あるものからくる臭覚を刺激するものというのが、本来の意味です。心地がよい・心地が悪いで使い分けていますが、ものによってはどちらでもよいと書いてあるものもあります。ですから、嫌いな食べ物のにおいは「臭い」を使ってもかまいません。

しかし、新聞や雑誌では、個人の見解や好みによるようなものは、通常「ひらがな」で書いています。
自分にとって嫌いなものであれば不快なのですから、「匂い」を使わずに「ひらがな」で書いた方がよいと思います。

英語で「臭い」は何という?

だれでも知っているsmellは、「におい」の中で真ん中ぐらいの意味です。ですから不快な意味でも心地のよい意味でも使います。たとえばIt smells good (いい匂い) It smells awful. (ひどい臭い)となります。

「臭い」と同じような使い方をする単語はodor(臭気・悪臭)stink(強烈な悪臭)stench(強烈な悪臭) reek強烈な悪臭)などがあります。英語にも「臭い」と同じ意味を持つ単語があるのです。

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「匂い」とは?

「匂い」の「匂」という漢字は、平安時代日本で作られた漢字で国字です。不快な匂いである「臭い」以外の香り全般に使われていることばです。

どんなとき使う

①鼻で感じる刺激を表しています。匂いのなかには、香りという意味も含まれることが多いです。

②ものが持っている雰囲気を表しています。

具体的な使い方

①鼻で感じる刺激「心地いいもの」・「不快でないもの」の意味で使われます。使われ方は、大変ポジティブな意味でつかわれます。花の匂い  香水の匂い  果物の臭い  匂い袋などがあります。

(例文)パン屋さんのいい匂いが食欲をそそります。バラの花の匂いが部屋いっぱいに広がる。パンもバラもどちらもいい匂いが広がっている感じがしますね。

 

②ものが持っている雰囲気でも心地よいものに使われます。 生活の匂い  ふるさとの匂い  なつかしい匂い

(例文)台所からいい匂いがしてきた。 彼女は、母のように優しい匂いがした。 優しい雰囲気や、懐かしい雰囲気などが伝わってきますね。

 

匂いで使われることばは、匂鳥(においどり=うぐいすのこと)匂粉(においこ=おしろい)、匂油(においあぶら=髪につける油)などがあります。「匂い」がつくことばには、日本の文化や情緒が感じられます。昔からよい意味で使われてことばだということがわかります。

臭覚を刺激するようなにおいは、「匂い」「臭い」?

たとえば隣の家からカレーの「におい」がするは?サンマの焼けるこうばしい「におい」がするは?少し難しいのですが、ネガティブにもポジティブにもとらえられます。一般的には、臭覚をそそるという意味では「匂い」を使うことが多いようです。

ただ、自分にとって不快であれば、「臭い」でもかまわないのです。また、よく分からないときは、「ひらがな」を使うとよいです。

英語の「匂い」

英語で「匂い」と同じことばscent(好ましい匂い・香り) pleasant smell (よい匂い)英語はかおるという意味のことばが多く「匂い」と同じ意味で使うには、smellの前に形容詞をつけて使うといいです。

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「臭い」と「匂い」の違い

  1. 「臭い」の「臭」の漢字は中国から伝わったが、「匂い」という漢字は平安時代に日本で作られた国字です。
  2. 「臭い」は「くさい」「不快なもの」というときに使われます。「匂い」は、「心地いいもの」「不快でないもの」の意味で使います。
  3. 「臭う」は臭いという意味の熟語がたくさんあります。悪臭、口臭、臭気など、「匂い」は、匂桜(においざくら)、匂付(においづけ)匂袋においぶくろ)などがあります。
  4. 英語は「臭う」は stink(強烈な悪臭)stench(強烈な悪臭) reek強烈な悪臭)など 「匂う」はscent(好ましい匂い・香り) pleasant smell (よい匂い)
  5. 自分にとって臭いときは、たとえ一般的に「匂い」をつかっていても「臭い」でかまいません。また、あいまいでよくわからないときは「ひらがな」で書くといいです。
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まとめ

「臭う」と「匂う」は、どちらも使う場面は同じです。

音だけを聞くと同じなのに使い方や漢字の表す意味でまったく違うということがわかります。

特に国字は、日本の文化や伝統を背景に作られているので、とても意味深いですね。 改めて、日本語は奥が深く、難しいことばだと思いました。

漢字と音を比べて考えると日本語の奥の深さがよくわかりますね。

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