「寂しい」と「淋しい」。
普段は「寂しい」を使う方が多いと思います。
しかし、「寂しい」だけなく「淋しい」の使い方も知っていると文学的な知識人に一歩近づけます。
知っていて困ることではありませんので、「寂しい」と「淋しい」の違いをよく考えていきましょう。
寂しいの意味
「寂しい」は ウ冠 のなかに 叔 という字が入って成り立っています。
ウ冠 には一つの物事のなか、または一つの屋敷のなかでなどの意味があります。
叔 には主だったものではないという意味があります。
たとえば、叔父や叔母という文字ですが、これには直接子どもを生んだのではない(主だったものではない)という意味が含まれています。
両親の下の兄弟(兄や姉ではなく弟や妹)を叔父さんや叔母さんというものこのためです。
つまり、「寂しい」という言葉には、一つの物事のなかで主だったものではないものがひっそりと存在しているという意味合いがあります。
寂しいの使い方
「寂しい」という言葉は、ひっそりと、物静かな、孤独ななど幅広い場面で使うことができます。
基本的にはひっそりとした物事に「寂しい」は使われますが、人の感情などそれ以外の場面で使っても間違えではありません。
寂しいは常用漢字
なぜ「寂しい」をいろいろな場面で使ってよいかというと、それは常用漢字であるからです。
一般的に使われることに選ばれた文字が常用漢字です。
また、「寂しい」の読み方は「さみしい」ではなく、正しくは「さびしい」と読みます。
淋しいの意味
「淋しい」は サンズイ に 林 という文字で成り立っています。
サンズイ には水や雫の意味がありますので、「淋しい」という文字は林から雫が零れ落ちるという意味合いがあります。
その情景は、物静かなことを表していますが、それだけはなく神秘や情緒的なといった意味も表しています。
つまり、「淋しい」という文字には情緒的(人の心や気持ち)、または自然的なもにたいしての意味が含まれているのです。
淋しいの使い方
「淋しい」という言葉は、寂しいとは違い限定的に使われます。
とくに多く使われるは、男女の仲が壊れたときや、家族や親友など大切な人との別れのときです。
「淋しい」は主に自分の気持ちや人にたいする感情で使われることが多いです。
淋しいは常用漢字ではない
「淋しい」は常用漢字ではありません。
そのため使い分けの範囲は狭いですし、使う場面を迷ったら「寂しい」を使っても問題はありません。
また、「淋しい」は「さみしい」と読まれます。
「さびしい」という読み方ではありません。
寂しいと淋しいのまとめ
●「寂しい」は使える場面が多い。
●「寂しい」は常用漢字であるため、使い分けを迷った場合は「寂しい」を使っておけば間違えではない。
●「淋しい」は主に人の心や気持ちを表すときに使うため、使い分けの場面が限られる。
●「淋しい」は常用漢字ではないため、使う場面を間違えたりすると興醒めさせてしまうことがあるので注意。