よくテレビのニュースなどで裁判が行われてその結果、被告人に「無期懲役」や「懲役○年・執行猶予○年」などという判決が下されるのを見ますよね。
「懲役」といわれると、その間刑務所に入るという事はわかりますが「無期懲役」となると、ちょっとあいまいな気がしませんか?
「無期懲役」のはずなのに、十数年・もしくは数十年勤めて行いが良ければ「仮釈放」の可能性がある、つまりは刑務所から出ることが出来るのです。
それと比べると、「終身刑」というのは、一度与えられたら死ぬまで二度と刑務所から出ることが出来ないというイメージがある人が多いと思います。
この「無期懲役」と「終身刑」には一見大きな違いがあるようですが、実際にはどうなのでしょうか?
今回は、「無期懲役」「終身刑」の違いについてご説明いたします。
「無期懲役」の意味
「無期懲役」というと、刑務所で特に服役態度などを考慮して、刑期が終わる前に刑務所を出ることが出来るというイメージがありますよね。
- 相対的無期刑の場合は「仮釈放」が認められています。
- 絶対的無期刑には「仮釈放」は認められていません。
日本の場合の無期懲役は、相対的無期刑が採用されているため「仮釈放」が認められているのです。
「仮釈放」とは、通常の釈放とは違い、刑務所から出ることはできますが、その後も月に1~2回、保護司の元に出向いて面談を受ける義務のある「保護観察」というものが刑期が終了するまで続きます。
つまり、私たちが「無期懲役」でも刑務所から出られると思っているのは、「仮釈放」のことなのです。
もちろん、無期懲役の場合、刑期は一生になるのでたとえ仮釈放をされたとしても、保護観察は一生続きますし、その間に何か別の犯罪を起こした場合、再び刑務所に逆戻りとなることも少なくありません。
しかもここ10年程は、仮釈放を受けられる人数な確実に減っていて、しかもそのほとんどが20年以上刑期を受けている人になります。
実際には、無期懲役形受刑者のほとんどが、刑務所内で最後を迎えているのです。
「終身刑」の意味
「終身刑」には、相対的終身刑と絶対的終身刑の2種類があります。
- 相対的終身刑は、刑務所内での態度を考慮して「仮釈放」が認められています。
- 絶対的終身刑は、いかなる場合でも「仮釈放」は認められず、一生刑務所の中で過ごします。
ちなみに日本の場合、「終身刑」という刑はなく、一番重い「死刑」の次に重い刑が「無期懲役」となっています。
先程の無期懲役の説明と、終身刑の説明を見てみると、どちらも呼び方は違いますが、内容に違いは無いように思いますよね。
そうなんです。
無期懲役と終身刑というのは、同じ内容のものなのです。
「仮釈放」の意味
無期懲役でも終身刑でも、相対的無期刑・相対的終身刑であれば、「仮釈放」が認められているというお話をしましたよね。
では、「仮釈放」とはどのような意味なのでしょうか?
通常の釈放であれば、刑務所から出ることが出来れば晴れて自由の身ですよね。
しかし、仮釈放というのは、刑務所から出ることはできても完全な自由ではないという事なんです。
この保護観察というのは、1ヶ月に1~2回ほど保護司の元に赴き、面接を受ける義務があります。
この義務を怠ったり、仮釈放中に犯罪を起こせばまた刑務所に逆戻りになるという事も少なくありません。
特に終身刑・無期懲役で仮釈放になった場合、刑期は一生となるため、たとえ刑務所の外に出ることが出来たとしても、一生保護観察は続けられるという事となり、本当の自由は一生やってきません。
「無期懲役」と「終身刑」の違いのまとめ
「無期懲役」も「終身刑」も、呼び方の違いこそありますが、内容的には全く違いはありません。
ただ、どちらも仮釈放のある「相対的無期刑」「相対的終身刑」、一生刑務所から出ることのできない「絶対的無期刑」「絶対的終身刑」というものがあることも分かったと思います。
日本では、死刑の次に重い罪が「相対的無期刑」となり、「絶対的無期刑」は存在しません。
そして、終身刑となれば一生刑務所から出ることが出来ないというイメージがありアメリカなどでも実は「相対的終身刑」を取り入れているのです。
どちらにしても仮釈放を受けるのはとても難しく、たとえ仮釈放を受けることが出来たとしても、一生完全な自由は得られないというのは同じなのです。