モモンガとムササビとヤマネ。
名前は聞いたことがあっても、これらをじっくり見たことのある人は少ないのではないでしょうか?
今回は、あまり知られていない、「モモンガとムササビとヤマネの違い」についてお伝えしていきます。
モモンガについて
モモンガは、リス科のほ乳類で、森の高い木の洞などをすみかにして生きています。
夜行性です。
もっとも、飛ぶことができるといっても、高いところから低いところへ移動するだけ。
鳥のように、低いところから高いところへ上昇することはできません。
皮膜は2枚の皮が重なっているだけのように見えますが、下には薄い筋肉の層と針状の軟骨があり、皮膜を広げることによって、風を受けて飛ぶことができるのです。
手足を広げて飛んでいる時の姿は、お正月の凧にそっくりです。
しっぽは、扁平で靴べらのような形をしていますが、着地する時の舵のような役目を果たしています。
モモンガは、大きいものでも体長20cm、重さ200gほどで、大きめのハムスターくらいのサイズです。
皮膜を広げて飛んでいるときの大きさは、広げたハンカチぐらい。
目が大きくて、耳がやや小さく、見かけはシマリスなどにそっくりの愛らしい姿をしています。
雑食性で、木の芽、果実、花の蜜、昆虫など様々なものを食べます。
集団生活を好み、ひとつの巣穴に4~5匹が一緒に生活しています。
ムササビについて
ムササビも、モモンガと同じくリス科に属します。
標高2000m以上の高山や山岳地帯で多く確認されています。
夜行性で、生態もモモンガとよく似ています。
ムササビは、顔に白いシマのような模様があり、しっぽがふさふさしているのが特徴です。
顔は、リスというよりもイタチに似ています。
モモンガとの大きな違いは、体の大きさです。
ムササビは大きいものだと、体長が50cm、重さが1.5kgぐらいあり、ウサギくらいの大きさです。
また、モモンガの皮膜は前足と後ろ足の間だけなのに対し、ムササビは首と前足、後ろ足としっぽの部分まで皮膜がつながっています。
そのため、ムササビの方が長い距離を飛ぶことができます。
モモンガの滑空距離は20mくらい、ムササビは100mくらいといわれています。
かなり遠くまで飛ぶことができるんですね。
ムササビが皮膜を広げて飛んでいる時の大きさは、新聞紙の片面くらいのサイズで、結構迫力があります。
ムササビは、基本的に地上では食事をしません。
地上での歩行能力は、モモンガよりも劣るようです。
また、モモンガと違って群れを作らず、単独で生活します。
毛皮は防寒具として重宝されたり、しっぽの毛は良質な筆に適しているというので乱獲されて、数が少なくなってしまいました。
ヤマネについて
ヤマネは、ネズミ目ヤマネ科に属し、モモンガやムササビと同じく夜行性です。
やや肉食寄りの雑食性で、モモンガより小さく、小型のハムスターくらいのサイズです。
木のうろなどに巣を作りますが、空になった鳥の巣箱なども住みかにしています。
本州・四国・九州にのみ生息し、1975年に国の天然記念物に指定されています。
ニホンヤマネは、背中に黒い線が1本あります。これは自分を枝に見せかけて、天敵から身を守るためだと考えられています。
ヤマネには皮膜がないので、滑空することはできません。
しかし、身軽なので、枝から枝へまるで飛んでいるかのように移動することはできます。
冬には、落ち葉や木の穴の中で冬眠をしますが、10月から4月頃まで、なんと半年以上も眠り続けることもあるそう。
冬眠前は栄養を体の中に蓄えるため、通常の2倍くらいの大きさになることもあるそうです。
冬眠中は、体温を0℃近くまで下げてほとんど動きません。
でも、冬眠から覚めるとすぐに機敏に動くことができます。
ペットにすることはできるの?
日本産のモモンガは個体数が少ない野生動物のため、個人の捕獲や飼育は許可されていません。
以前はタイリクモモンガ、アメリカモモンガがペット用として輸入されていましたが、現在では規制が厳しくなり、アメリカモモンガのみが流通しています。
同様に、ホオジロムササビ・ニホンヤマネも鳥獣保護法の規制があるので、個人で捕獲・飼育することはできません。
ペットとして飼われているヤマネは、ヨーロッパヤマネやアフリカヤマネという外来種です。
ハムスターを飼うのと同じ感覚で飼うことができ、比較的手ごろな価格で入手できるようです。
「モモンガ」と「ムササビ」と「ヤマネ」の違いまとめ
- モモンガ・ムササビ・ヤマネは、夜行性のリス科の小動物で、モモンガとムササビは皮膜により空を滑空できる。ヤマネは滑空しない
- モモンガとムササビの違いは、おもに体の大きさと、皮膜のつき方
- ヤマネは、冬眠の期間が長く、ニホンヤマネは天然記念物になっている。外来種は、比較的容易にペットにできる
モモンガやムササビは、動物園でも観察することができます。夜行性なので眠っていることが多いかもしれませんが、いつか飛ぶところを見てみたいですね。