肉食で、鋭い爪やくちばしをもつ鷹(タカ)や鷲(ワシ)。
海辺でよく見かける、どこか牧歌的な雰囲気の鳶(トビ)。
名前は知っているけど、どんな鳥なのかよく分からない隼(ハヤブサ)。
今回は、そんな鷹(タカ)と鷲(ワシ)と鳶(トビ)と 隼(ハヤブサ)の違いと見分け方について調べてみました。
鷹(タカ)と鷲(ワシ)ってどんな鳥?
では、「小さめ」「大きめ」とは、どのくらいが境目なのか調べてみましたが、明確な定義はないようです。
ひとつの例として、鷹のなかでは大型の「オオタカ」は、体長がオス約50cm、メス約60cm、翼を広げると約100cmから130cmくらい。
鷲のなかで最大級の「オオワシ」は、体長がオス約88cm、メス約102cm、翼を広げると約220cmから250cmということなので、2倍近くの大きさの差があるということですね。
しかし、翼を広げると180cm以上になる超大型の「クマタカ」がいたり、体長55cm前後の小型の「カンムリワシ」がいたりするので、ややこしいことになっています。
どうやら、「鷲」と「鷹」にはっきりとした違いはなく、慣用的に呼ばれてきた呼び名がそのまま名前になっているようです。
鷲と鷹の違いと見分け方
画像で見ると、鷲の方がやや目つきが鋭く、ワイルドな感じ。
また、尾が短く、足が太いという特徴があります。
鷹は、足が細長く、尾は扇状に広がっていて、鷲よりもスマートな印象です。
しかし、これもあくまでも傾向にすぎません。
両者とも、タカ目・ハヤブサ目・フクロウ目の総称である猛禽類に属し、生態系のトップに君臨します。
おもにウサギやネズミなどの小動物を襲って食べますが、自分より体の大きい動物にも果敢に立ち向かいます。
鷲は、山岳地帯や広い草原地帯に住み、岩の上や高い樹上に巣を作るので、人間と接触することはあまりありません。
一方、鷹は昔から人間ともかかわりが深く、飼いならされて「鷹狩り」などに利用されてきました。
鷲は束縛されることを嫌う性質があるので人間になつきにくいですが、鷹は体が小さいこともあり、扱いやすかったようです。
鳶(トビ)ってどんな鳥?
「ピーヒョロロ」という独特の声で鳴き、空中を輪を描くように旋回しながら飛ぶことで、鷹や鷲とは区別がつきます。
ほとんど羽を羽ばたかせることなく、風に乗るようにして滑空します。
その姿から、英語では「カイト」と呼ばれているそうです。
文字どおり、凧にそっくりですね。
カラスとは体の大きさが近いこともあり、餌や縄張りをめぐってケンカすることがあるそうです。
また、鷲や鷹は、生きている獲物を捕えることが多いですが、鳶は動物の死骸や人間の食物なども食べる雑食性です。
海辺でお弁当を食べていて、鳶におかずを盗られたという経験はないでしょうか?
「鳶に油揚げをさらわれる」ということわざや、「飛べ飛べトンビ~」という歌があることからも分かるように、鳶は昔から私たちの身近な存在でした。
隼(ハヤブサ)ってどんな鳥?
ほぼカラスと同じくらいの大きさです。
猛禽類の仲間で、おもにスズメやハトなどの小型の鳥類を餌にしています。
河川や湖沼、海岸などに多く生息しますが、都市部でも見かけることがあります。
飛びながら獲物を捕え、水面に叩きつけて絶命させることもあるようです。
「ハヤブサ」という名前は、早翼(はやつばさ)などが転じたものと考えられています。
その速さは、水平飛行をしている時で時速100km、上空から獲物を捕えるために急降下してくる時は、なんと時速390kmにも達するそうです。
日本の留鳥(常に同じところにとどまって生活する鳥)のなかでは最も飛ぶスピードが速く、世界的に見ても、上空から猛スピードで海面すれすれに飛行し、獲物を捕えるグンカンドリに匹敵する速さといわれています。
しかし、見た目は大きな黒い目が愛らしく、DNA的にはインコやオウムに近いといわれています。
都心では、高層マンションのバルコニーなどに巣を作り、ドバトなどを食べて生活していることもあります。
高いビルやマンションが、隼にとっては高い山や岩のようにみえるのではないか?といわれています。
また、鷹と同じように飼いならされ、狩りで同じように使われていたという記録もあります。
どの鳥が一番強いの?
体の大きさからいうと、鷲>鷹>鳶>隼ですが、それぞれ生息する地域が異なるので、これらの鳥が争うことはあまり考えられません。
もし、鷹と鷲が戦うことがあったとしたら、最終的にどちらが勝っても、お互い致命傷に近い傷を負ってしまうことでしょう。
自然界の生物は、無益な戦いはしないのです。
まとめ
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- タカ目タカ科の鳥類のなかで、比較的大型のものが「鷲(ワシ)」、それより小型のものが「鷹(タカ)」。どちらも肉食で、生態も似ているが、鷹の方が人間に慣れやすい
- 「鳶(トビ)」もタカ目タカ科に属するが、鷹よりも小型で、動物の死骸なども食べる雑食性。飛び方と鳴き声に特徴がある
- 「隼(ハヤブサ)」は、体の大きさは一番小さいが、急降下する時のスピードは鳥類のなかでも最も速い
鷲や鷹は、縄張りを広く持たないと生きていくことができません。そのため、天然記念物や絶滅危惧種に指定されている種も多くなっています。
一方、鳶や隼は、人間の生息地の近くでたくましく生き抜いている種も多いようです。
よく混同されやすい鷲も、タカ目タカ科に属しますが、こちらは鷹よりも体が大きめです。