遠足や運動会の昼食には欠かせない、おにぎり。
手軽に食べられる主食として、コンビニや駅の売店では常にショーケースに並んでいます。
それほど私たちの生活に深く入り込んでいるおにぎりは、いつ頃から食べられているのでしょうか?
また、「おにぎり」と「おむすび」に何か違いはあるんでしょうか?
今回は、おにぎりの歴史と、「おにぎり」と「おむすび」と「握り飯」の違いについて、皆さんにお伝えしていきます。
おにぎりの歴史について学ぼう!
おにぎりの歴史は古く、稲作が始まった弥生時代の遺跡から炭化したコメの塊が見つかっています。
この塊に人間の指のような跡があるため、これが「元祖おにぎり」ではないかといわれています。
「元祖おにぎり」は、底辺が約5cm、他の2辺が約8cmの二等辺三角形で、約3.5cmの厚みがあるそうです。
私たちが今食べているおにぎりに近いサイズですね。
当時は、炊いたご飯に塩をつけて握るのではなく、蒸した後に焼くチマキのようなものだったようです。
使われる米も、平安時代頃まではもち米が主流でした。
鎌倉時代の後期頃からうるち米が使われるようになり、承久の乱(1221年)では、梅干し入りのおにぎりが兵糧として配られたという記録があるそうです。
海苔を巻いて食べるようになったのは、意外に新しく、浅草海苔の養殖が始まった江戸時代に入ってから。
手に米粒が付着することなく食べられて、海苔の栄養と食感を楽しむことのできる海苔巻きおにぎりは、今でも根強い人気ですね。
ちなみに関西では、焼き海苔の代わりに味付け海苔を使ったおにぎりもポピュラーだそうですよ。
「おにぎり」と「おむすび」の違いは?
次に、「おにぎり」と「おむすび」についての違いですが、色々と調べてみたものの、明確な定義の違いがあるわけではないようです。
- 西日本では、「おにぎり」という人が多く、東日本では「おむすび」という人が多い
- 三角形の形をしたものが「おむすび」で、俵型や丸型など形にはこだわらないのが「おにぎり」
- 手で握ったものが「おむすび」で、道具を用いたものは「おにぎり」
- 手でしっかりと握り固めたものが「おむすび」で、ゆるく握ったのが「おにぎり」
など、諸説ありますが、どれも正解ではないようです。
はっきりした違いがあるわけではなく、ご飯を握って固めたものを広義の「おにぎり」と呼び、その様々な「おにぎり」の中で三角形のものを特に「おむすび」と呼んでいる、という説が一番しっくりくる気がします。
「にぎりずし」も、形は丸くないですしね。
また、「握り飯」は、広辞苑では「おにぎり」や「おむすび」と同じものを指すとあります。
特に九州の小倉地方では、「おにぎり」や「おむすび」と同じ意味を表す言葉として、日常会話の中で使われていることが多いようです。
「おにぎり」と「おむすび」と「握り飯」の語源について
そうはいっても、色々な呼び方があるということは、それぞれに違う背景があってのことと考えられます。
「おにぎり」と「おむすび」と「握り飯」の名前の由来について、もう少し詳しく探ってみましょう。
「おにぎり」は、握り飯→お握り飯→おにぎりと変化し、定着したという説があります。
また、「おにぎり」は「鬼切り」に通じる言葉であるため、魔よけの効果があるとして、民話では鬼退治の際におにぎりを投げつけるシーンがあるそうです。
一方、「おむすび」は、古事記に出てくる天地万物の神である「産巣日(むすび)の神」に由来する、という説があります。
古来の日本人が山を神のように崇めて、その神の力にあやかるためにご飯を山の形を示す三角形に握ったのだ、といういわれは説得力があります。
しかし、それとは逆に、「握り飯」や「おにぎり」という呼び方の方が歴史が古く、「おむすび」は、丁寧語や女性言葉だったという説や、平安時代の貴族の女性たちが「おむすび」と呼んだの対し、「おにぎり」は農民などの庶民の言葉だったという説もあります。
もはや何が正しいのか分からなくなってきますね。
「おにぎり」と「おむすび」と「握り飯」との違い まとめ
これらのことから、
- 「おにぎり」と「おむすび」と「握り飯」は、もとは同じものを指すが、地域や言葉を使う人によって呼び名が異なったり、形によって使い分けていることがある。
- 「おにぎり」と「おむすび」に明確な定義はない。「握り飯」は、「おにぎり」や「おむすび」と同じものを指し、九州などで使われている。
ということが分かります。
呼び名や形、中身の具などは違っても、日本人のソウルフードであることには間違いないようですね。