キッチン周りの食器用洗剤などでよく目にする「除菌」という言葉。
「殺菌」は菌を殺すけど、「除菌」は取り除くだけなんでしょうか?
じゃあ、「殺菌」と「滅菌」の違いは?
「消毒」とはどう違うの?
何となく知ってはいるけど、詳しい作用については認識があいまいな「殺菌と滅菌と除菌と消毒の違い」 について調べてみました。
それぞれの用語の定義について
「殺菌」とは、人体に有害な細菌などの微生物やウィルスを死滅させることを指します。
ただし、必ずしも効果を期待されるものではなく、どんな微生物をどの程度死滅させるかなどの明確な規定もないのが現状です。
「滅菌」とは、人体に有害であるか無害であるかは関係なく、すべての微生物とウィルスを死滅させることを指します。
この用語については、国際規格ISOにおいて、「滅菌操作後、微生物の生存する確率が100万分の1以下であること」と具体的に定められています。
ただし、例えば人間の指を「滅菌」するためには、細胞レベルまで死滅させなければならないので、人体に対してではなく、医療用器具などに対して用いる用語です。
「除菌」は、増殖可能な細菌の数を減少させ、清浄性を高めることを指します。
ここで規定している菌は細菌類を指すので、カビなどの真菌類は含まれていません。
具体的には、主に大腸菌と黄色ブドウ球菌に対する効果を示しています。
「消毒」とは、人体に有害な病原性のある微生物などを除去・無害化することであり、必ずしも死滅させることを意味しません。
人体に無害な菌は存在している場合もあります。
生活者のイメージは?
2005年に、日本石鹸洗剤工業会という業界団体が実施した面白い調査結果があります。
「菌制御関連の用語に対する生活者のイメージ」という項目がそれです。
この結果によると、「殺菌」の作用について、「すべての菌を死滅・除去」をイメージしている人が56%、「身体や健康に害を与える菌を死滅・除去」をイメージしている人が11%だったのに対し、「滅菌」は、それぞれ49%と4%、「消毒」は、それぞれ21%と38%となっています。
また、「除菌」については、「すべての菌を死滅・除去」が15%、「身体や健康に害を与える菌を死滅・除去」が27%となっています。
「滅菌」よりも「殺菌」の方が作用が強いというイメージを持っている人が多いんですね。
「殺」という言葉のインパクトが強いせいで、こうした誤解が生まれてしまうのかもしれませんが、実際には、「滅菌」の「滅」は全滅を指し、医療現場などで使われる確実性の高い言葉です。
また、「消毒」に対して、「身体や健康に害を与える菌を死滅・除去」と正しくイメージしている人が多いのは、けがをした時に消毒薬を使用することなどで効果を身近に感じているからではないでしょうか。
用語の使い方にも規定がある
「滅菌」と「消毒」に確実な作用があることは分かりました。
「滅菌」は、医療現場で求められることはあっても、一般家庭でつくり出すのは不可能に近い環境です。
そこで、私たちになじみの深い、ほかの3つの言葉についてさらに掘り下げていきます。
「殺菌」と「消毒」という用語は、薬事法で使用が規定されています。
この2つは、消毒剤などの「医薬品」と、薬用石鹸などの「医薬部外品」に対してしか使うことができません。
台所用洗剤などに、「除菌」という表示がありますが、洗剤は「雑貨」にあたるため、「殺菌」や「消毒」の用語が使えません。
「殺菌」や「消毒」の効果があっても、「除菌」という表現しかできないのです。
しかし、医薬部外品などに「殺菌」という表示があったとしても、効果が保証されているわけではないので、過信は禁物です。
「殺菌と滅菌と除菌と消毒の違い」 まとめ
- 「殺菌」と「消毒」は、人体に有害な微生物やウィルスを死滅させることを指し、「滅菌」は、すべての微生物とウィルスを死滅させることを指す。
- 「除菌」は、主に大腸菌と黄色ブドウ球菌に対する作用を指す。
- 「殺菌」「消毒」という表記は、医薬品と医薬部外品にしか使えない。「除菌」という表記のある商品は雑貨にあたる。
いかがでしたでしょうか?
家の中やドラッグストアで、「消毒用アルコール」「滅菌ガーゼ」「除菌スプレー」などの関連商品を探してみるのも面白いかもしれませんね。